手の使い方…自分の場合
指上下の修業 手を棒のように固めたら 鍵盤の底まで深くタッチ

手の重さのコントロール 「しなう」のは危険 指曲げる?伸ばす?

俊敏に 指練習とのつきあい方 本 読んでみました 体のお手入れの本
指上下の修業
中学生になり、脱力だけ 柔らかい手だけでは、うまくいかず、
新しい先生の指導を 受けることになりました。
 
目標は「指の上下」と「指のすわりをよくする」こと
その後 数十年…「指上下」経験から 感じているのは

1)「指だけ安定」は難しい 歳月かけてチャレンジ!
姿勢は保持(頭立てて 背中伸ばす)
関節はリラックス(肩 ひじ 手首 指の付け根)
腕・手 リラックスでも、指だけ安定!
鍵盤にフィットする(ぐらつかない・へこまない)
写真は名ピアニスト リパッティの手。ちょっとうらやましい。
(イラストは レヴィーンの本18頁にある「旧式のタッチ」。
指曲げすぎで、私には 無理)

2)「ツブをそろえる」には
・タイミングを整える(聴く&予想)
・各指の入り方を同じにする(指の曲げ方、スピード)

3)指練習も 少し&ふだん
練習曲のほかに「指の性能上げる指練習」も必要。
初級者には ハノン前半でも、
それ以後は 「保持音のある5指練習」&その他
手を棒のように固めたら
・手首を上下に ぶらんぶらん振って!そういう手首で 弾く
・鍵盤下げたら、瞬間脱力!

・腕から指先にかけて アーチを 作る!腕から爪が直線!
・たたくな!固い音色厳禁!

ピアノを始めて数年間、うるさく言われたのは この4点。
脱力&構えですね。おかげで「緊張ゼロのリラックス状態」
骨身に沁みました。(ただし指先の安定感は悪かったです)
子供時代の誰もが やりそうですが、大きな音を出そうとして
手を固めて鍵盤をたたいたら…即座に雷が飛んできました!
こんなわけで、体を緊張させるとか、手を棒のように固めて
弾くことには、嫌悪感。

20年後、知らない先生のピアノ発表会をのぞいてみたら、
全員が「腕を鉄パイプのように固めて」弾いていました。
「ダ・ダ・ダ」と 悪いやり方で ハノンを弾いている みたい。
私の頭の中に???が いっぱい!
「重音の音階が弾けるの?」「バッハは?」
「中級の曲に ニュアンスをつけて弾けるの?」
「ピアノを弾く イコール 固めた腕を振り下げる」だったら
片手で2種類の音形を弾く なんて 無理!


ピアノ演奏テクニックで 目指すのは?
「音色が美しい」「動作が機敏」「表情が豊か」。
「姿勢の保持」と「肩〜手のリラックス」が 鍵。

「リラックスして・指先定まっている」のは難しいですが 
鍵盤の底まで深くタッチ

(習い始めの)最初から 鍵盤の底深く、
けっして 叩かないように、
海岸の砂の中に 指が入っていくような感覚…
砂のようなものなら しっかり押さえていなければ…
それにより音がずっと鳴り響く…その振動を子供に聴かせてみて
リラックスした状態で しっかりテヌートを保つ

(ピュイグ=ロジェ ある「完全な音楽家」の肖像 74頁)

ピアノを習い始めの子供に 望ましいタッチを 要約しました。
「鍵盤の底深く」「叩かない」「鳴り響くのを聴く」「リラックス」
4点ですね。ロジェ先生、メロディーのタッチは
「地球の裏側まで 突き抜けるように(下げる)」
とおっしゃってました。

「リラックス」…自由自在に 切り替えられたらと 私は 思っています。
1)一瞬で手全体が ゆるめられる
2)0.5秒後 鍵盤上がってこない程度に ゆるめられる
3)リラックスして テヌートを保つ

実際の演奏で よく使うのは、3)か2)ですが。
手の重さのコントロール

「指を動かす」時は、指を動かす!
手が固まっていたら 初見演奏で困りますよ。
「弾くイコール手を振り下げる」は 改めた方が良い。

公開レッスン(1985年頃)での ピュイグ=ロジェ先生のアドバイス。

手の重さをどれくらい「かける」か
手の重さ「なし」で 指を動かすか
は、
ピアノテクニック最大のポイントだと 思います。

何かの曲を 新しく練習する時、私は
「手の重さを かける・かけない」
「鍵盤の奥で弾く・手前で弾く」
を ひたすら考えます。
ショパンのエチュードで求められるのも
「手と指の分業」と「手と指を組み合わせた動き」
それから 「体を使った ニュアンス作り」。
「しなう」のは 危険
脱力、力を抜く、リラックス…について
自分の周りで見聞きした経験から、大事なのは
A)リラックスして構えても 「指だけは 形が定まっている」
B)「オンとオフのタイミング」が重要
弾く瞬間アーチができて、弾かない瞬間ゆるんでいる

A)とB)の逆を やったら、指や腕が「しないます」。
一か所に負担が かかり、弓なりに曲がり…手を痛めます。
「しなったら、痛める危険あり」と用心です。
対策は
骨格の固まってない子供は、曲を選んで、体の使い方 いつも確認。
無理に手を広げる曲を 練習する場合
・手の形を作る、ゆるめる 「タイミング」適切に
・勢いに任せて 乱暴に弾かない。
・2と5(人差し指と小指)を拡げる曲、案外要注意。
ショパン10の10、バラード1、即興曲1など、リスト「軽快」、
シューマン 交響的練習曲、ラヴェル 高貴で感傷的なワルツ
指曲げて弾く?伸ばして弾く?
指を曲げて弾いても、伸ばし気味で弾いても、
長所短所の両方が あると思っています。

指を曲げて弾く (指先垂直で 打ち込む)
長所 細かく 速く 力強く 弾ける。 疲れにくい
短所 単色 強弱わずか。 歌わせる音色に向かない。

指を伸ばし気味で弾く (指先45度の角度で 押さえる)
長所 歌わせる音色、多彩な音色が出せる。
短所 力強くに 向かない。 疲れやすい。


ピアノの先生を たくさん教えてきて 出会ったのは、
「曲げて打ち込む人」か「手を置く人」の どちらか。
でも、これだけ長所短所が あるのなら、
基本の「曲げて弾く」に加えて、「伸ばし気味で押さえる」も
混ぜて使ったら 良いのじゃないかなぁ。
ガソリン電気両方使う 「ハイブリッド」の車ですね。

イラストは ジョセフ・レヴィーン「ピアノ奏法の基礎」。
学生時代に手ごたえを 感じなかった本。
でも、今読むと 見方が 違う…
ワルツのタランタラン…俊敏に

ショパン ワルツ1番4番に出てくるタランタラン音形
弾きにくくて 手こずります。
メフィストワルツ、ツェルニー練習曲にも 出てきます。
解決法を考えてみると
1)「鍵盤の近くで」弾く(手を 大げさに上げたら ダメ!)
2)音符のすき間で「瞬間・横移動」
3)指上下 2種類(「深く強く」と「鋭く弱く」)

練習法は


たとえると 「原稿用紙に 超高速で字を書いていくような」動き。
必要なのは 背中伸ばして、肩ひじリラックス。
俊敏、精密、手の重さのコントロールって、
腕と手を 棒のように固めたら 無理。
指練習とのつきあい方
中学校前半 タウジッヒ「毎日の指練習」やっていました。
超上級者向け、手広がりすぎで 効果少なかったです。
当時必要だったのは、指先の安定と 動きの訓練。
ハノン前半の方が 適していたかもしれません。
大切なのは レベルを合わせる、体の状態良くする

高校生の頃 ブラームス「51の練習曲」独力で 弾いてみました。
34番 手のひら とにかく柔らかく・拡張・音色2種類
23番 白鍵と黒鍵で高さが違うけど 同時に音が出る
1拍1秒「ゆっくり精密」なんて 当時 軽んじてました。
でも、バッハのフーガやベートーヴェンの第2楽章で 必要。
バリバリ弾きまくる以外の能力も 必要

指の独立とスピードアップに「保持音ありの五指練習」は
欠かせない
と思います。
ハノン前半でも、譜読みに手間のかかる練習曲でも、無理。
ピシュナ、シュミット、コルトー、ドホナーニだと、
「根気や時間が必要だったり、適量分からない」。

「最短の練習時間で最大の収穫」を ねらった五指練習
ピュイグ=ロジェ ピアノのエクササイズ (Amazon)
11〜25番 左右対称でシンプル。譜例の音域 5-10回。
指練習は 体質を変える お薬。「少なく&ふだん」が鍵?
ピュイグ=ロジェ ピアノのエクササイズ
ちなみに、姿勢を作り、リラックスして構えて、
弾いた瞬間に 力を抜くのは、指練習以前に 必要です。
手の使い方…家にある本 読んでみました
 セイモア・バーンスタイン ピアノ奏法 20のポイント 御木本澄子 正しいピアノ奏法 大西愛子 ピアニズムへのアプローチ
腕・手をゆるめて、指だけ 形を 作るには?
セイモア・バーンスタイン ピアノ奏法20のポイント(Amazon)
レッスン1〜5では
・姿勢の作り方(こわばらせる→ゆるめるで コツつかむ)
 (体の中を 音楽が通り抜けている感覚)
・張りを持たせた指(指には 形が必要)
・速く押すと 大きな音を出せる

この本の日本語は 読みにくい。
バイバイのジェスチャーも 日米で違う。意図を「推測訳」。

御木本澄子 正しいピアノ奏法(Amazon)
「りきまずに 必要な筋肉を動かす」研究成果を披露した本。
指の関節を形作る訓練法は、こちらの方が 参考になる。
歳月を経て 読んでみると、共感することも 多かった。

大西愛子 ピアニズムへのアプローチ(Amazon)
親指の へこみを 矯正する方法が 書かれている。
音楽的に弾くポイント説明が 具体例で多く、私の愛読書。

手を棒のように固めて弾くのは?
「子供時代のクセは、修正が大変。
音や体のコントロールを教えても、発表会や実技試験で
元に戻っちゃう。」 知り合いのベテラン先生 こぼしてました。
「大きな音を出すために 腕を振ること」
「無理に強い音で弾かせること」を子供に強いてはいけません。

(ピュイグ=ロジェ ある「完全な音楽家」の肖像 91頁)
 「体のお手入れ」の本
ピアノを弾く人向け「体のお手入れの本」2冊買いました。
理学療法で身体から変える ピアノ体操 ピアノがうまくなる からだ作り ワークブック
「理学療法で身体から変える ピアノ体操」
ピアノを弾く人のための体操とストレッチの本。
筋肉を使うと 筋肉は縮むだけ。
「練習後に 手 腕など静かに伸ばして 元に戻す」
ストレッチが示してあります。

私がストレッチを知ったのは 1980年代。
運動選手向けの本でした。
ピアノを弾く人向けの本が現れるのは 予想してましたが
世の中変わったなぁ と思います。
ストレッチもやりすぎは 禁物。「痛めている場所は やらない」
「運動前に 曲がる範囲を超えたストレッチは故障の危険」。

「ピアノがうまくなる からだ作り ワークブック」
ピアノを弾く時の悪い姿勢、なかなか直らないクセを
修正する道が示してあります。
アレクサンダーテクニックの応用を試みています。
必要なワークを選ぶのに、仕組みを理解するのに
日にちが かかりそう。

本の選び方
楽譜屋さんには ピアノを弾く人のための 体操、脱力奏法、
アレクサンダーテクニックの本が 盛りだくさん。目が回ります!
本の選び方、私の場合は、
1)「知りたい話題」を目次で探して読んでみる
(辞書を買う時と同じ)
2)「都合良すぎる」本は信用しない
(たとえるなら、食べまくっても 20sやせられる本)
3)2つ比べてみる
よく知らない話題なら、2つ見てみる、2つ聴いてみる、
2つ買ってみる、2つから ひとつに絞る
20代の頃、冬終わりにデパートの売りつくしバーゲンで
猪突猛進。買ったコートが大失敗…
それは 玉虫色に鈍く輝く なで肩 お爺さんコート。
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