ピアノ伴奏の命、タイミングの取り方・合わせ方を 書いています
タイミングの取り方・合わせ方

 「伴奏なんて、合わせて弾いておけば、OK」 だろうか?
本当は、タイミングの取り方が何種類もできて、臨機応変に切り替えている。
といっても、全体像をイメージして、わずか微調整するだけなのだが…

その昔、何が何でも私が歌うより後に弾けと、
徹底的につるし上げられた数日後に
ピアノが先回りして歌手が追っかける合奏をした時には、目の前真っ暗。
この経験が心のすみっこにあり、タイミング…どうしたもんかなあと長年思い悩んでいた。
今の私には朝めし前でも、昔の私には難しいことだった。

「こういう風に歌おう、弾こう」 という共演者のイメージを 察知して、
その「寸法」で 弾いていくのが 基本。
・ 歌なら言葉、弦楽器なら弓の動き、管楽器なら息継ぎを予習して把握しておく。
・ 自分で「曲の運び」をプロデュースするつもりで、2種類くらい考えておく。
くれぐれも、他人まかせで頼りっきりだったり、1音ずつ追っかけたりしない!
(後追いしていると 「我ながら、うまく合わせてるなあ」と 勘違いしやすい!)

1.キザミ(の和音)は、同時に
  ただし、前に出てはいけない。 共演者は追い立てられているような気持ちになり、動揺。
  「あなたが音をひとつ出す間に、あたしは4つも音を弾くのよ!」 「速すぎ、ついてけない」
  必ずきざみときざみの間に細かい音があるつもりで練習しておく。 「熊ん蜂の飛行」

2.Keep して「並走」
  同じ速さでひたすらキープする時…、ツボだけ合わせ気味にして残りは適当に弾く時…
  伴奏がずれる 方が 好ましい場合だってあるし、先に行っても構わない。
  グノーやシューベルトの「アヴェ・マリア」など声楽曲に多くある。

3.「決め所は同時」が原則、というものの、張り切って 待ちきれない伴奏
  和音の変わり目、曲のきかせどころ、終わりの和音などの「決め所」で、
  ピアノ伴奏が先に音を出すと、しらける。


3a.同時に音を出すのは、一緒の動作で
  ピッタリ同時に音を出すのは、相手の魂を感じて、一緒に弾く動作 (息を吐きながら)。
  「見てから」「聴いてから」弾くと、反応が一瞬遅れる。
3b.後追い気味が適している場合もあり
  オペラ・アリアの重要個所で、わずか遅れて音を出した方が適している場合も。
  「あと出しジャンケン」 みたいなものなので、何回も やったら みっともないけど。

4.「点(タイミング)より 立体(フレージング)」…楽譜の「横」を 感じる
 指揮者カルロス・クライバー 「魔弾の射手」序曲 リハーサルDVD…
 同時に始めるはずの神秘的な音を、指揮より遅れて音を出させている。
 弦より遅れて管を入り込ませる練習風景。

5.「合いの手」は、次に運ぶ (伴奏者が「真面目に数える」より 詰める)
 「菩提樹」 歌が始まって4・8小節目、次の小節の1拍めのタイミング イメージ。
 (「合いの手」に入ってから 念入りに 数え直すのは、絶対に ダメ)

6.息を吐きながら、「無意識で」弾く音だってある
 どうやっても タイミング合わない場合、共演者に なりきったり、「自然に」弾いてみる。
 我欲や プライドを 脇に置いてみる。  (2009.12.31.)

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